藍 色を説明すると「藍で染めた青色の一種。青より濃く、紺より淡い色。」染色辞典 中江克己編 というのが一般的でしょうか。産業革命後の合成染料の発明で藍色の意味が変化しました。かつての藍色は「藍の単一染の色ではなく、藍染の青に黄を加えた緑味の青色のことである。縹(はなだ)のような純正の青色ではない。」日本の伝統色 長崎盛輝
合成藍の普及が始まったころは、古の「藍」で染めた色に似ているということから「藍色」と呼ばれていたものが、その後広く使われるようになります。そして今度は天然藍で染めた色を指すように「藍色」が使われだしました。実際の染料はほとんどが合成藍や化学合成染料だと思いますが、それとともに「藍色」の着物や帯が一緒に身に着けている白、薄い色のものを藍で染めてしまうことも常識になってしまいました。
言葉の持つ意味が時代とともに変化するのは妨げられませんし、受入れないといけない事かも知れません。しかしそれとは別に技術や材料の持つ意味は、正確に説明し続けないと本来の技術は消滅すると思います。時代が大きく変わっている現在、世界には多くの種類の藍があり若者の間でも天然藍は興味をもたれていると思います。多くの青色染料が出現してから一度も藍の定義がなされていませんが、今後を担う方達に藍の定義をつくっていただきたいと願っています。