文 化財保護法において、歴史上または芸術上価値の高い染織技術を「重要無形文化財」「無形文化財」として、その関連する材料や道具をつくる技術を「選定保存技術」染織技術に関わる道具やその資料を「有形民俗文化財」染織技術に関わる習俗が「無形民俗文化財」で保護されています。
昭和30年(1955)には阿波藍栽培加工用具が「重要有形民俗文化財」として、53年(1978)に阿波藍製造が「選定保存技術」に選定されました。重要無形文化財を支える技術としての仕組みなのですが、同じ「もの」を作るための「技術」が文化財とそれ以外の関連技術に選別するのでは、染織品を作り出す技術や意図を一体に考えることができないと思います。文化庁は無形文化財と選定保存技術に線引きされた異なる枠組みでの保護体制をとっているため、技術とその技術の発達してきた必然的な関係は生まれ難く、いま生きている技術は過去のものになり、一面だけ保護された染織品になってしまいます。技術を総合的に保護する重要性を考え、現在の枠組みを超えた無形文化遺産として想像した保護になることを望みます。
藍・染料関係では昭和54年本藍染・森卯一、植物染料(紅・紫根)生産・製造が財団法人日本民族工芸技術保存会、平成14年琉球藍製造が選定保存技術に指定されています。
平成15年(2003)に締結された世界無形遺産条約では「無形文化財」と「無形民俗文化財」の区別は設けられていません。保護するための学術的、技術的および芸術的な研究と調査の方法を促進し、権限のある機関を指定、設置することで役割を決め計画を建てることで保護から発展、振興のための政策に努めています。そして機関の設立のための立法上、技術上、行政上、財政上の措置を考え無形文化遺産の伝承を進めています。