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伝統的工芸品産業と藍 Ⅱ

統的工芸品産業の振興に関する法律により通商産業(現:経済産業)省によって認定された主な織物は結城紬、伊勢崎絣、桐生織、黄八丈、塩沢紬、小千谷縮、加賀友禅、信州紬、有松・鳴海絞り、近江上布、西陣織、京鹿の子絞、弓浜絣、博多織、久留米絣、本場大島紬、久米島紬、宮古上布、読谷山花織、与那国織などで、昭和53年(1978)阿波正藍しじら織も認定されました。平成27年(2015)には経済産業大臣により選定された伝統的工芸品の染織関係は47点まで増えています。

 

選定された織物は、催事の企画、雑誌の特集にも「日本の伝統織物」として多くの人の知識に、江戸時代から続く特別な織物として記憶されることになります。選定された阿波しじら織は昭和12年に一度生産が中止になり、戦後復活していました。「阿波正藍しじら織」の指定基準は1:先染めした綿糸を用いること。2:染色は蒅/すくもをブドウ糖、ふすま、苛性ソーダで還元可溶化した藍染であること。3:しじら織であること。このしじら織とは藩政時代に「たたえ織」といわれていた原組織の平織と、経糸3本(たたえ糸)を引き揃えた緯畝織とからなる混合組織です。しかし実際は「先染めを蒅/すくものみによって行うことは産業としては成り立たない、蒅は高価で経済的に折り合わない」と選定の伝統的工芸品を生産している事業所はなく、展示用に保存しているだけです。市場にでているのは「徳島県伝統的特産品」のしじら織です。こちらの染めは一般に高温型反応染料を用い、紺色のみ反応染料で染め上げた後、蒅/すくもをハイドロサルファイトと苛性ソーダを用いて還元した染液に1回のみ染め「阿波しじら織」と称して市場にでるわけです。よく調べれば偽装ではないのですが、情報発信された映像、パンフレットをみると多くの人は「阿波正藍しじら織」と思ってしまいます。

 

 

阿波藍に関して云えば昭和53年の時点で40年の4haよりは増えて15haまでにはなりましたが、とても日本の伝統織物の藍染に使用される生産にはなっていません。